ザ・スパイダースが「ザ・スパイダース・アルバムNo.1」というタイトルのファーストアルバムをリリースしたのが1966年。ちょうど50年前。ちなみにザ・スパイダースについてはご存知かしらん。堺正章、"ムッシュ”かまやつひろし、井上順、井上尭之、大野克夫、田辺昭知らが在籍していたグループ。GSすなわちグループサウンズの元祖的位置付けの歴史的存在なので、各自ちゃんと覚えておくように。試験に出るよ。井上尭之と大野克夫といえば「太陽にほえろ!」のテーマ曲だからね。
で、この彼らのファースト・アルバムは、当時でも画期的な全曲オリジナルのアルバムで、「ノーノーボーイ」とか「フリフリ」とか、今聞いても斬新なポップナンバーが揃っているのです。1966年といえば、ビートルズが初来日でマージービートなロックンロールが世界を席巻していたのだけど、日本はまだまだ「霧の摩周湖」とか「星影のワルツ」のようなムード歌謡が全盛期。そのあたりの時代背景を考えると、作曲をしたかまやつひろしはほんとに天才だと思うのよね。
で、彼らのセカンドアルバムが、その名も「ザ・スパイダース・アルバムNo.2」。ま、そうなるわな。このアルバムでは、一転して全曲カバー。それも、当時の最新ヒット曲であるビートルズナンバーが中心。さらには、日本でまだリリースされてないビートルズナンバーをラジオで耳コピーして収録したんだって。なので、ほぼ完コピ。日本のリスナーはビートルズの新曲をスパイダースの演奏で最初に知ったわけですな。
フォーク界でも、当時のフォークシンガーが、その頃人気だったPPMやジョン・デンバー、さらにはボブ・ディランなんかの曲をカバーしたり、あるいは歌詞やメロディーやギターテクニックを引用しているのも散見できるよ。だからといって、簡単にパクリとか言っちゃいけない。
なんつっても50年前だからね。インターネットなんて影も形もないし、円も安くて海外に行ける人も少なく、最新の流行はおろか、とにかく情報そのものがなかなか入って来ない時代。確か洋楽のアルバムには歌詞すらなかったらしいので、その手段(お金とか時間とか知識とか)を持った人がシェアをするしかない。今、ブログやYouTubeで発信するように、当時はレコードが作られ、チャンスのある人たちがそれを覚えて仲間内やコンサートで歌い、広めていって日本の音楽文化の基礎を作っていったわけです。
そしてそれは単に時代の問題ではなくて、音楽に興味を持った子どもにとっても、いきなりビートルズやストーンズの良さは理解できないけど、わかりやすい歌詞やキャッチーなパフォーマンスによって「何か本質的なもの」に知らないうちに触れて、大人になったある時に、自分の音楽ルーツを知ることになるのです。僕がそうだったように。
そんな、僕なりの音楽話も折ふしに語っていこうと思うので、お楽しみに。僕の作った曲の"元ネタ”も、どれがどこにどんな風に引用されてて、それがどうカッコよく消化されてるか、じっくり聞いてみてくださいな。
冴沢鐘己
・11月6日(日)京都 ゼスト御池「fm GIG わくわくシティーパーク」
13:00〜16:00 無料
出演:TIME FOR LOVE、BBガールズ、籾井優里奈、安部美香、山下圭志、あきっすん、センチメンタル・ボーイ、西村美紀 MC:曽我未知子、伊藤直輝、久保翔子、如月凛 ほか
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「週刊GIGマガジン」
発行:特定非営利活動法人エフエム・ギグ(fm GIG)
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パームトーン・エージェンシー
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