久しぶりに映画を見てきました。タイミング的にこの前のアカデミー賞で話題になってたやつを見ようとあれこれ物色して、せっかく大きいスクリーンで見るのだからと選んだのはレオナルド・ディカプリオ主演の「レヴェナント〜蘇りし者」。開拓時代のアメリカを舞台に、それはそれは過酷な大自然の中でサヴァイヴする男の物語なんだけど、とりあえず見終わった後の感想としては、どいつもこいつも犬死にしすぎ。開拓時代から南北戦争にかけての映画、例えば「グローリー」とか「続・夕陽のガンマン」とか見たら、戦う大義がよくわからなくて、なんであんなところにわざわざ行って命を賭けれるのか全く意味不明なんだけど、それはそれとして。
映画としては、もちろんCGはそこかしこに使ってるんだろうけど(グリズリーに襲われるシーンとか)、基本は広大で過酷な大自然に寄り添った、古き良き手法に則った重厚な正攻法の演出が素晴らしいの一言。その圧倒的なリアリティーが役者の力も引き立たせるってなもんで、ディカプリオが念願のオスカーを獲ったのもむべなるかな。
そうなのよね、結局最終的に重要視されるのは、リアリティー。それは映画やドラマだけでなく、音楽でもアートでもなんでもそう。
とはいうものの、徹底的に写実にこだわればリアリティーが出るかというとそういうわけでもなく、リアリティーを出すためにあえての演出やデフォルメが必要だったり、もしくは真逆の省略やカットが効果的だったりして。例えばシンプルな4コママンガでもリアリティーで感動させることもできるわけで、たったヒトコマ何かを動かすのにも、とてつもない試行錯誤が必要だったりするのです。
本当に悲しい時に、人は涙を流すものなのか、嬉しい時に声をあげるものなのか、恐怖の場面で震えるものなのか。誰かに何かを伝えようとする時に、どこまで細部を語ればいいのか、言葉がなくても伝わるのはどこからどこまでなのか。
本編が始まる前やテレビのCMで、実写なのかマンガなのかわからないCGだらけのハリウッド大作や、やたらとオーバーアクションで説明的な演技が飛び交う日本映画の予告編を見て暗澹たる気分になって、無性に古い映画やクリント・イーストウッドのような静謐な作品を見たくなるのだけど、はたして自分が何かを生み出す時に、ちゃんとその線引きは理解しているのだろうか。
饒舌と無言の間を正しく描けているのだろうか。
このゴールデンウィークはおかげさまでいろんなイベントに出て充実した日々を過ごさせていただきましたが、現場が変わった時に、言葉が届かない気がして焦る自分も確かにあったわけで、そんな時はあれだ。ほとんど台詞のない役柄で3時間近い作品を支えきったディカプリオの気迫を思い出して、時には鏡に向かって自分の姿を客観的に見るのも必要だなと思ったりするのです。「ムーンシャイナー」の手の広げる角度も、あれでいいのかどうか。
そんなこんなで創作意欲はかなりのものになっているので、もうすぐ出来上がってくる名曲たちを楽しみにしていていくださいな。
冴沢鐘己
・5月14日(土)京都 ゼスト御池「わくわくシティーパーク」
出演:TIME FOR LOVE、BBガールズ、安部美香、あきっすん、山下圭志、西村美紀、如月凛、曽我未知子、伊藤直輝
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