３０歳を過ぎた頃にfmGIGに出会う。
冴沢鐘己という自由に生きている人に出会った時にこんな人が世の中にいるのだと驚いた。裏表がない。下心も打算もない。彼はいつも笑っていた。お客さんが５人くらいしかいない立ち飲み屋さんで汗だくで歌っていても笑顔だった。「すごいなぁ」と思った反面、「変な人だなぁ」とも思った。ラジオの番組を聞いていても屈託のなさが滲み出ている。
私も今は、自分を偽らずに生きているから、営業スマイル以外の愛想笑いはしなくなった。それだけで心は軽くなったし、素直に正直に生きることが人を輝かせるのだと気づくこともできた。自分に正直になるというのは、わがままになるというのとは違う。むしろ勇気もいるし、責任も必要となってくる。味方ができる代わりに敵を作ってしまう場合もある。愛想笑いをしていた頃の私は、本当に弱かったのだと思う。愛想笑いの壁を乗り越えることができて私は正直になれた。
もし、自分に正直になれずにいる人は、目の前に何か壁が立ちはだかっているのだろう。まずは何が壁なのかを考える、そしてそれを乗り越える勇気を出す。乗り越え方は人それぞれだろうが、自分の師匠となるような尊敬できる人を一人見つけるといい。心から信頼できて心から尊敬できる人。「そんな人いない」と今、思った人は、あなたのいるフィールドが狭いということだ。学生の頃のように、決まったフィールドでしか行動していないから出会えないだけなのだから。
一歩踏み出してみて。その向こうには、新しい自分が待っていると信じて……。私が変われたのだから、あなたも変われるはず。
多崎 美寿々
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