週刊GIGマガジン

fmGIGマガジン 創刊号

脂肪を希望に変えるプロジェクト

2016年04月01日 13:13 by uchida_tatsuo
2016年04月01日 13:13 by uchida_tatsuo

僕は典型的なメタボリック症候群であった。まん丸に、パンパンに膨らんだお腹には、いつしか三段バラもできなくなり、子供達には「パパのお腹の中には赤ちゃんが入っているの?」と聞かれた。奥さんにはトドかアザラシが転がっているみたいだと言われた。子供達をプールに連れて行く時にはもちろんラッシュガード、卑猥なポチャポチャのボディは見せられたものではない。そこでもお好み焼きにたこ焼き、かき氷に炭酸飲料、フランクフルト、朝も食べたのに「よう食べるなー」と呆れられ、お財布を気にしながら、夕食はフォルクス。健康的に和風おろしソースにしとこうか、などと言いながらも、がっつり肉を食べて、子供達の残した分も平らげ、パンは食べ放題、そしてサラダも食べ放題、やれクロワッサン、やれくるみパン、次々と焼きたてのパンがやってくる、バターもジャムもお代わり自由、パンパンのお腹にサラダをたらふく詰め込み、いやー健康的と自分自身を納得させる。

 毎日毎日お酒を飲み、高カロリー食品にありとあらゆる調味料をかけ、「カケラー」とまで呼ばれ、ほとんど噛まずにビールやワインで胃の中に流し込む。慢性的な睡眠不足で、階段を上がるとしんどかった。スポーツなんてもってのほか、歩く事がすなわち運動であった。健康グッズを購入しては三日坊主で放置、カレーライスに牛丼、天丼、ハンバーグ定食、ピザ、パスタ、トンカツ、ヒレカツ、餃子に唐揚げ、炒飯!!!「なんでも来い!」だった。

 身長173センチに体重は88キロ、体脂肪は軽く30を超えていただろう。今思えば、なんとも刹那的で極論とも言える生活スタイルであった。次々と快楽を貪り、ありとあらゆる食事をストレス発散にしてしまっていた、自殺行為、自虐行為としか思えぬ暴飲暴食、不摂生ぶりではあったのだが、当時はそうは思わなかった。そんな生活が自分の中では普通の生活であったのだ。思えば、周りにも僕のような体型の人達が多かった。学生の時からの仲間たちも歳を重ねるにつれ、みんなでっかくなっていた。そして、多少ぽっちゃりとしてはいるが、百貫デブではない、仕事も精力的だし、男はこのくらい豪快な方がいい、むしろこれが普通の30代なのだと思い込んでいた。


                                                 内田達雄

                                              Tatsuo Uchida


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