毎日の生活と時間と仕事に追われて自分がなぜこの世に生を受けたのかさえ考えることができなくなっていた。私は幸せだと思っていたし、これからも幸せな人生を歩むのだと漠然と信じていた。幸せはこんなものだと諦めていたのかもしれないけれど……。
ふと自分の人生を振り返った時、青春時代の思い出がないことに驚いた。未来のことを考えてばかりいたが故に、今を生きていなかったのだろうと現在の私ならわかる。しかし、当時の彼女にはその考えすら及ばなかった。青春を謳歌している同級生たちを冷ややかな目で見てさえいたのだから。そして気がつけば、思い描いた未来に立っていない自分。言うまでもなく絶望感が襲ってきた。諦めて流されて生きていくという選択肢もあったのかもしれない。何も疑問を持たずに過ごしていれば、平穏な毎日は約束されていたのだから。しかし、心の空虚感はどうしようもなく、その穴を埋めるための自分探しと本当の幸せを探す旅への出発を抑えることはできなかった。
旅の中で、人と出会い、ものと出会い、経験と出会う。旅の中で自分を見つけることはできるのか?本当の幸せとは何か?多崎美寿々の目線を通して感じてください。
人は幸せになるために生まれていたのだということを。
多崎美寿々
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