八神純子が「愛する気持ちを呼び覚ます街ね」と歌ったニューヨークは、アメリカの東の端っこ。70年代あたりは治安もあまりよろしくなくて、よくギャング映画や犯罪映画の舞台になってたけど、それも今は昔。世界でも最も有名なジャズとビジネスの街として、うっかりするとアメリカの首都だと思い込んでる人もいるでしょう。
かたや郷ひろみが「くっつき離れて愛して別れる繰り返し、涙の粒のミラーボール」と歌ったハリウッドは、アメリカの西の端っこにあるカリフォルニア州ロサンゼルスの中心地。アメリカ人にとっても「夢のカリフォルニア」って歌われるくらい、明るくて暖かくて華やかな街。そりゃハリウッドスターがいるんだものね。
同じアメリカという国にあるこのふたつの街がどれくらい離れているかというと、直線距離で約3936キロ。車で最短距離をぶっ飛ばすと4490キロ。ちなみに東京と大阪間は550キロ前後なので、約8往復分ですか。ニューヨーク在住のエラリー・クィーンは「第八の日」という長編の中で、愛車のデューセンバーグというクラシックなスポーツカーでロサンゼルスに行こうとして、途中で道に迷って事件に出くわすわけですが、それがどれだけクレイジーか想像できるでしょう。そんなもん、道中のほとんどが、北海道どころではない何もない荒野で、なんかあっても絶対誰にも助けてもらえないぜ。
ちなみにエラリー・クイーンが活躍したのは1930年代あたり。第二次世界大戦の直前くらいかしらん。
ここ数年僕は、毎年のように北海道に遠征に行ってて、そのうち何度か、新千歳空港から釧路とか弟子屈まで、すなわち北海道を車で横断したことがあるんだけど、現代の整備されたハイウェイを走っても遠いなあって思うのに、今から80年も前の人たちは、どんな感覚で何百キロも何千キロも移動したんだろうね。そしてアメリカ人は、日本人が博多から札幌まで行くくらいの感覚で、西海岸から東海岸まで移動するんだろうか。ひとくちに全米ツアーとか行ったりするけど、出かけたら最後、どんなに弾丸ツアーでも何ヶ月も帰ってこれないわけで、そりゃロックスターとかプロレスラーとか、離婚するのもあちこちに愛人を作るのも当然よね。
京都の中だけで活動してると、三宮に行くのでさえ遠くて億劫になってしまうけど、もちろんそれは慣れの問題。fm GIGの京都スタジオには毎週、日本のあちこちからパーソナリティーがやってきて収録をしています。僕だって、どこにだって行くよ。
よく「スケールの大きな音楽」「スケールの大きな芸術」「スケールの大きな人物」という言い方をされるけど、それはけして漠然とした物差しではなくて、物理的な移動距離ときっちり比例すると思うのよね。
とは言うものの、日本の交通費は高すぎるのも事実。金銭的にもスケールが大きくなることを目指して、まずは頭や心の中から自由にあちこち飛び回りましょうよ。パームトーンチームは来年から、各地のみなさんに会いに行くため、着々と準備中。お楽しみに。
冴沢鐘己
・11月13日(日)京都 壬生寺「Mibu Collection」
11:00〜16:30 入場無料(VIP席のみ要500円)
出演:TIME FOR LOVE、曽我未知子、BBガールズ、籾井優里奈、あきっすん他
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「週刊GIGマガジン」
発行:特定非営利活動法人エフエム・ギグ(fm GIG)
編集責任:冴沢鐘己、曽我未知子
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協力:PALMTONE RECORDS
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