最近もっとも目がウロコだったこと。
「人は、目に映るものや耳に聞こえるものは"そのまま”受け止めて、何も足さないし、何も引かない」のだね、ほとんどの場合。
たまに前衛芸術なんかに接した時、たいていの人は戸惑うよね。ただペンキをこぼしただけ(のようにしか見えない)絵とか、ただ卵かなんかが置いてあるだけ(のようにしか見えない)オブジェとか。なんなんだ、これは?って。
音楽でも前衛と呼ばれるジャンルがあって、最も有名な作品のひとつにビートルズの「Revolution 9」というのがあるんだけど、あれなんか、8分にもわたって「Number 9」という言葉が変なノイズとともに繰り返されるだけの(ようにしか聞こえない)シロモノだからね。
もちろん作者にはそれぞれ制作時に確たるイメージやメッセージがあって、それらを表現するためにその作品は世に出たわけで、そしてそうした作者の意図を感じ取って感動した人がいるから、それはそれなりに評価を得て世に残ってるわけだけど、だからといって「私もやってみる」とか迂闊に考えちゃいけない。
例えばちっちゃな子どもが書いた女性らしきヒトの絵を見て、「あ、これはママだね、上手だね〜」って言えるのは、その子の家族のことを多少なりとも知ってて、ある程度消去法が使えたりするから「あ、髪の毛が長いから、この絵はパパじゃなくてママだ」と判断できるわけで。
さっきの「Revolution 9」という曲も、あれはあの時期のジョン・レノンが作ったという事前情報があるから、そこに何かメッセージを感じ取ろうと思えば感じ取れるのです。僕はいつも聞かずに飛ばすけど。
僕が例えばギター1本でガシャガシャと「哀愁でいと」を歌っても、観客の世代さえ間違えなければみんな原曲を知ってるので、きっと楽しく聞いてもらえてるし、なんとなれば、僕のギタープレイのカッコよさも伝わってると思うのね。
でもそれがオリジナル曲だった場合(あるいはさほど有名ではないカバー曲の場合)、僕の頭の中ではちゃんとした完成形が流れていて、それを再現するべく歌やギターを頑張るけど、それはあんまり人には伝わってないという残念な事実に僕は気づいてしまったのです。
もちろん元々が、ギターやピアノだけで聞かせるような曲ならさほど問題はないし、生の迫力でじゅうぶんカバーできるけど、それが音の分厚いロックやポップスなら、お客さんが本来の曲の姿を知っていない限り、結局ただの空回りに終わってるんだなと、僕は知ってしまったのです。あんなに頑張っていろんな曲を弾き語ってたのに。
となれば、僕の取るべき方法はただひとつ。とにかくきちんと「完成形」を世に出す。つまりCDですね。そしてライブやイベントでも、フルバンドでできないのであれば、オケをガンガン使うぞ。いっそギターも弾かねえぞ。
そんなこんなで、fm GIGやパームトーンもイベントも、これからどんどんポップでカラフルになるので、安心して楽しんでくださいな。もう頭の中に(?)は浮かばせないよ。
冴沢鐘己
・7月3日(日)京都 ゼスト御池「わくわくシティーパーク」
出演:TIME FOR LOVE、BBガールズ、籾井優里奈、安部美香、あきっすん、山下圭志、西村美紀、曽我未知子、伊藤直輝、如月凛、久保翔子ほか
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「週刊GIGマガジン」
発行:特定非営利活動法人エフエム・ギグ(fm GIG)
編集責任:冴沢鐘己、曽我未知子
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協力:PALMTONE RECORDS
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